クマムシとは?


くまむしってどんな動物?

クマムシ類は体長がおおむね1mm未満の微小な動物で、4対の脚を持ちます。これまでに約1,500種が報告されており、通常の市街地のほか、深海、高山、極地まで幅広く生息しています。ゆっくり歩くことから緩歩動物と呼ばれ、分類上独自のグループを形成しています。近縁な動物群としては、節足動物(昆虫やエビ・カニなど)や有爪動物(カギムシ)があげられます。

カラカラに乾いてもヘイキ?最強動物? クマムシ

陸生クマムシの多くは乾燥耐性を持ち、周囲が乾燥すると脱水して縮まり乾眠と言われる状態になります。この状態では水含量は数%にまで低下しており、生命活動は見られません。驚いたことに死んだわけではなく、水を与えると速やかに活動状態に復帰します。乾眠状態のクマムシは様々な極限的な環境に曝露した後も、給水により生命活動を再開することから、マスメディア等では最強動物などと言われることもあります。これは、他の動物が耐えられないような厳しい環境でも生き残る事ができるという意味で最強の部類に入るということで、他の動物と戦って勝てるということではありません。また、こうした耐性はすべてのクマムシが持つわけではありません。

宇宙空間にも耐えられる?

超低温・超真空・放射線に耐性を持つことから、乾眠状態のクマムシなら宇宙空間に曝露しても耐えられるのではないかと指摘されてきました。この仮説を検証するため2007年秋にクマムシの宇宙曝露実験が行われました。
 穴の空いた箱にクマムシを入れて宇宙空間(高度258 – 281 km)に10日間曝露しましたが、生存率や寿命、繁殖率について特に影響はありませんでした。宇宙空間に曝されて生存した初めての動物になります。一方、紫外線も照射される条件で曝露した場合には生存率は大幅に低下しました。岩石などにくっついて影に隠れるようにすれば宇宙旅行も可能かもしれませんね。

どうやって採るの?

クマムシはいろんな場所に生息していますが、乾眠能力を持つものを採取するのであれば、コンクリート壁や路上に生えている乾いたコケから採るのが成績良好です。 住みやすそうな湿ったところよりも、頻繁に乾燥する厳しい環境の方がこうしたクマムシはむしろ生き残りやすいようです。良く乾いたコケを採取して水を加えて数時間から一晩放置すると、乾眠していたクマムシが動き出します。

クマムシはどうしてそんなに耐性が強いの?

クマムシの示す耐性能力は、生息環境から考えると明らかに過剰であり、生き残るために必要だったとは考えられません。こうした過剰な耐性能力は、頻繁に乾燥する環境に住み、乾燥耐性を持つクマムシで観察されます。乾燥に耐えるために獲得した様々な保護や修復のしくみが、副産物として過剰な耐性能力を生んだのかもしれません。
 乾燥耐性の仕組みとしては、昔からトレハロースという糖がたくさん蓄積して乾燥から保護しているのだと考えられてきました。しかしながら、クマムシではトレハロースを顕著に蓄積しない種が多く、このような耐性を示すメカニズムについて、最近の研究ではクマムシ固有のタンパク質が重要な役割を果たしているらしいことがわかってきました

クマムシを研究するとナニが分かるの?

クマムシを調べることで、どのようにすれば動物が乾燥など様々な環境ストレスに対抗しうるのかそのメカニズムを明らかにしたいと考えています。クマムシの乾眠のメカニズムから、動物の細胞や組織を乾燥保存できる仕組みが明らかになれば、ヒトの医療や産業など応用面にも大きな影響を及ぼすことが期待されます。
 また、乾眠状態のクマムシが吸水して復活する過程は、生命活動を示さない物体から生命活動が始まる過程ともいえます。この過程で何が起きているかを調べることで、生命とは何かという根本的な疑問に迫りたいと考えています。さらに研究が進めば、人工的に生命活動を生み出すこともできるようになるかもしれません。